香川県高松市の屋島南山麓にある 四国村に行ってきました。
 
  四国の民家を展示する博物館

  このテーマパークは 江戸時代から明治時代の四国の 歴史的価値の高い民家を展示する博物館で 四国各地から移築された民家33棟が移築され 当時の姿に復元され、保存されています。

1976年に開館し 財団法人四国民家博物館が運営しています。
      入口の看板          入場券とパンフレット

 運営は地方公共団体によるものではなく 元々は陸運会社が
運営し、讃岐うどん店の店舗 (四国村南側の「わら家」)に
瓦葺の古い民家を移築し、評判になった事から始まったようです。
 元々が陸運業だったので 移築コストも低廉で済むことから
四国各地の民家や建造物の収集が始まり、四国村に発展した
との事です。
  山の斜面に広がる園内を散策
現在約51,000平方メートル。山の斜面に広がり 頂上を目指して登り そして下山するというコース
歩いて回るには結構起伏もあります。
 最初が 祖谷のかずら橋の復元
 もちろん本物と違って高さは無く短いのので 足がすくだりはしませんでしたが かなり完成度の高い復元です。
 祖谷の人達は 山に自生している白口かずらを編んで吊橋を造り事に成功してから かずら橋が作られるようになったのです。
 現在残っているのは1本だけで 3年毎掛け替えられるとか。
 いきなり「猪垣」という 畑を荒らしに来るイノシシを捕らえる垣根が復元されています。
 建造物には解説板が設置され、歴史的背景や特徴が明記されています。
 ボタンを押すと四国弁での音声解説も流れるなど 力瘤が入っている印象。
小豆島農村歌舞伎舞台
 小豆島に江戸時代後期に建てられた茅葺き屋根の大きな建物で 廻り舞台、楽屋、義太夫の床、お囃子座があります。
 小豆島民が 祭りの際は 激しい労働を忘れて 歌舞伎に興じていたというもので 後方は1,000人が観覧できるコロシアム形式の観客席となっていました。
 通路を更に進むと 茅葺き屋根、平屋建ての旧山下家住宅
江戸時代の東讃の農家です。
旧河野家住宅 そして大阪城残石  自然とうまく調和している印象です。
砂糖しめ小屋
 ここでしか見られない珍しい建物があります
サトウキビを絞る石臼なども復元されています
四国でサトウキビは育ったのでしょうか?
 江戸時代の建立から、最近まで利用された建物まで 多岐に及んでいます。 国指定の重要文化財建造物は2棟、重要有形民俗文化財の建物は6棟 そしてほぼ全ての建造物が文化財の指定・登録を受けています。

丸い建物であるのは 
サトウキビを絞る為に腕木を
に引かせ 牛が石臼を回して
いたからです。
移築復元といいながらも 歴史的価値の高い民家が多いのが嬉しい所です

そして四国村ギャラリーがあります。
こちらは2002年に出来た比較的新しい施設で 
安藤忠雄設計の美術館と庭園で構成されています。

今回は時間が無かったので 中に入るのは割愛しましたが
余裕があれば 又じっくり見たいものですね。
茶堂
 四国ではおへんろさんの接待 休憩場のために 街道に点在していたようです。ここで茶が出されたため茶堂というのでしょうか。南予にあったものが移築されています。
 祀られている地蔵菩薩は流政之の作で、瀬戸内寂聴によって開眼され「遊庵」と名付けられました。
茶堂から進む道は竹林になっており 美しい風景に心洗われるようです。
  山の頂部には 大久野島灯台と灯台退息所
 歩き続けて行くと 山の頂部に達しました。
 こちらは 大久野島灯台と灯台退息所が展示されているエリアとなります。
 この辺りは明治以降の建築だけに 雰囲気が洋風となります。
 灯台退息所とは灯台の官舎で 日本で最も早い時期に造られたいずれも石造りの重厚なもの。

        灯台退息所の内部の様子 ↓


 前庭にはチューリップも植えられて 雰囲気も良く見晴らしがよいので 女性に好まれそうな場所ですね。(訪問時はまだ寒い時期だったので チューリップも花が咲き誇っていません(^^;)

 西洋風建築であり、先ほどまでの和風建築とは趣が異なるため
少し離れた丘の上に配置するあたり 雰囲気を壊すこともなく
巧みな配置だと感じました。

坂道を下ると植物園 行った時期は花が多くなかったですが.....
敷地はかなり広いです。
雨上がりに散策しましたので 森の緑がしっとりとしており風情が良かったです。
竹林などの緑 小川 滝など 自然と民家を巧みに調和させて配置しています。
 さらに進むと 土佐和紙を作っていた 楮(こうぞ)蒸し小屋があります。
 楮や三椏を釜の上に積みこんで蒸したという内部も ご覧のように忠実に再現されており 高級和紙の産地・土佐の文化を、建物を通じて今に残し、後世に伝えています。
 昔の紙造りは大変手のかかる作業で ここで蒸した後は皮を剥ぎ、水に浸した白皮をモチにして棒で叩き 最後に水に入れて掬いあげ 紙に漉いていたのです。
下木家住宅
剣山の北斜面 つるぎ町にあった山村農家が移築されています。
太い梁を組んだ空間構成 力強いと感じますね。
 四国でも祖谷地方は標高が高く 相当寒冷な所なのですが
冬は二つの囲炉裏で暖をとっていた事など 
地域に即した生活を窺い知る事が出来ました。
久米通賢先生旧宅
平賀源内と比肩する 香川出身の江戸時代の科学者です。
(意外と知られていませんが) 軍船、大砲、ピストルなどの武器、扇風機等を発明し、
坂出塩田の基盤を作った郷土の名士です。

内部は日本文化の勉強会等が行われる研修室とか。
旧中石家住宅
 祖谷の民家で 隠居屋 主屋 納屋が一列に並んで続きます
何れも茅葺きの葺き降ろし 十八世紀後半の建築とみられています。
 母屋が立派なのに比べて隠居屋が小さいのが特徴ですが
父親が隠居し 長男に世帯を譲ると 隠居屋に移り住んだからのようです。
旧丸亀藩御用蔵
 海鼠壁に特色がある丸亀藩の御用米蔵で 金毘羅参りの絵画にも描かれています。
 季節ごとの展示スペースとして使用されている資料館的役割を果たしています。 

 昔の暮らしが そして先人達の知恵が息づいている四国村
自然と調和したテーマパークの中を散策し 景色を眺め 
懐かしさに触れながら 四国の文化や風土を体感する事が出来ます。
 園内の所要時間は 個人的には最低2時間半は見たいところですね。
アーチ橋 そして旧福井家石蔵
いずれも明治中期に作られ、昔の金比羅街道沿いにあったもの
三崎の義倉
義倉とは平時に稲や麦を貯蔵し 飢饉の際に種籾や食料の補助として支給する制度。
醤油蔵と麹室
 東かがわ市引田の醸造所で 長年使用されたものが移築されています。
天保9年(1838)に造られた仕込桶や押槽など 昔の用具を使って
醤油造りの作業場を再現していました。
醤油蔵の中には醤油樽がたくさん積まれ 
大豆を茹でる大釜や桶、絞り機など 写真を撮るにも絶好です。
最後は旧吉野家住宅があります
 こちらは南四国の伊座利地区の漁師の家を移築したもので 強風対策で家の周囲を石垣で囲んであります
 昔の漁業というのは博打的要素があり 地元漁師が借金をして大網を買っても 不漁続きだと家の建て替えができず みすぼらしい侭であった事など そうした漁村の生活などが垣間見ることができ 興味深かったです。
 入村料は 一般800円(2010/4現在) 8:30〜17:00(冬季は16:30)
(四国村ギャラリーがセットになる入村券も販売されています)
年中無休で 朝8:30から開園しているというのも便利です。

 四国村に隣接して ティールーム異人館 うどんのわら家があり (右写真参照)瀬戸内海国立公園・屋島もそばですから 香川観光の際はお薦めしたいと思います。 

 
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