杖立温泉(熊本県)－新ぶらり探訪

　熊本県阿蘇郡小国町にある杖立温泉に行ってきました。
杖立温泉は大分県日田市と熊本県阿蘇を結ぶ
国道212号線沿いに位置しており
日田から30kmの南(熊本県に入ってすぐ)に位置しています。
国道は山峡路ですが意外に交通量が多いので
連休や紅葉シーズンはご注意ください。

杖立川に架かる橋から見た温泉街

　豊かな水量を誇る杖立川沿いに温泉街が展開しています。
ここは1800年以上の歴史がある古くからの温泉郷で、
弘法大師、空海などをはじめ明治以降は野口雨情、
高野素十などの文化人も訪れこの湯を愛しました。　

　　　泉質・無色透明できれいな弱食塩泉
　　　温度 98度～100度
　　　効能神経痛リウマチ、切り傷、美肌作用

　杖立にはホテルや中小旅館、湯治客を対象とした旅館などが22軒存在しています。（2007/8現在）

料金は平日素泊まり4,000円の所から15,000円クラスまで様々ですが中心価格帯は平日でやはり6,000～8,000円でしょうか。

　湯治の宿、露天風呂の宿、天然温泉＋エステの宿、
12の湯を持つ宿、有機野菜や漢方生薬を使った薬膳料理を出す宿 etc、お好みに応じて宿を選ぶ事ができます。

　肌にやさしい温泉で保湿効果も高いので１日に何度入っても大丈夫な温泉と言われ
湯治を目的に長期滞在するお客も多いとの事です。
飲泉も可能で風邪を引いた時にうがいをしても良いとか...。　

　共同浴場は５軒があります（元湯、薬師湯、御前湯、流泉湯、第二自然湯）
元湯は無料の露天風呂で脱衣場はありませんし混浴なので勇気が必要(笑)
1800年前に応神天皇の産湯として使われた源泉がこの付近から湧出したようです。
御前湯は江戸時代に熊本藩の御前湯があった所です。

　杖立ならではの温泉名物としては、天然の「むし湯」(日本古来の湿式低温サウナ）が有名です。
100度近くもある杖立温泉の高温の湯煙りを利用したもので
大半の旅館の中にも設置されています。
川のほとりを歩くと至る所に湯けむり茶屋があり(高温注意)、
こちらでじゃがバターやゆで卵を食べるのも一興。


黒川温泉では入湯手形がありますが、杖立温泉には「立ち寄り湯めぐり帳」が存在し 1,000円でどれでも３湯まで入浴できる帳面があります（半年間有効・2007/8現在）。この湯めぐり帳は６月２６日（風呂の日）に抽選で杖立ならではの賞品も当たる特典もあるとか。

杖立の地名の謂われですが来た時には杖の助けを借りてやってきた人が、湯治によって健康を取り戻し、帰る時には杖なしで済んだという下の短歌に由来しています。　　湯に入りて病なおればすがりてし杖立ておいて帰る諸人置いて行った杖が、多く立て掛けてあった事から「杖立温泉」となったようですが本当ですかネ(^^;)。　杖立温泉最大の風物詩に、この温泉街の川を跨いで 3,500匹の鯉のぼりが泳ぐ日本一の “鯉のぼり祭り”というのがあります。期間は４月上旬～５月上旬でこの時期に杖立に行かれるのも良いかもしれません。杖立温泉の観光協会ではご家庭で不要になった鯉のぼりを集めています。

　鉄道は通じておらず、公共交通機関でのアクセスはバスとなります。西鉄交通センター博多駅・日田バスセンター・阿蘇駅から杖立行きバスが運行され、熊本空港、熊本駅などから阿蘇駅で杖立温泉への乗り継ぎ便もあります。
（博多駅～杖立2,550円　日田～杖立1,000円　杖立～阿蘇駅1,050円　　2007/8現在）

　戦後　杖立温泉は九州の奥座敷と呼ばれ、歓楽街温泉としても栄えたようですが、近傍の黒川温泉が脚光を浴びるのに対して杖立は昭和のまま停滞している印象で　杖立温泉街は“昔ながらの鄙びた温泉郷”といった感じは否めません。
ただ下呂に似た温泉情緒はあります。
　地元では生活に根付いた適正規模のまちづくりを目指しているようです。

　熊本と大分の県境に位置し相当な山奥ではありますが、
周囲には観光地が目白押しですから、昼間は近郊の観光地で
愉しんで　夜は静かな杖立温泉に宿泊してリフレッシュ出来るというのが最大の利点ですね。

右写真は温泉街南入口にある白岩公園のサルスベリ