“京都には寄れるが 時間がないので半日だけ”という場合 皆さんなら何処を訪ねたいでしょうか?。

 さすがに京都は日本を代表する観光都市ですから 
京都駅から1.5km以内に限定しても 見るものを圧倒するような世界遺産や国宝が溢れています。

 当サイトには 京都コンテンツ「はんなり冬の京めぐり」もありますが 
前回割愛した 京都駅から1.5km圏の洛中エリアの周遊を 今回は「洛中プレシャスタイム」と称して紹介します。

 
 国宝 三十三間堂
 京都市東山区にある三十三間堂を訪ねました。
ここは京都駅から七条通りを東に1.5km 向い側には京都国立博物館もあります。
 京都駅からは市バス206、208で約15分 徒歩でも1.5kmなので
20分で行けます。

 この三十三間堂は 正式には蓮華王院と呼び 長寛2年(1164)鳥辺山麓の後白河上皇の勅願で
法皇が住んだ法住寺殿の西側「法住寺殿」の一角に平清盛が増進しました。それから80年後に焼失したのですが 文永3年(1266)に再建されました。

 以来、室町、桃山、江戸、昭和と何度も大修理が行われ 
その威容を700余年も保持しています。
正式名称は蓮華王院と云いますが三十三間堂という名の方がはるかに親しまれていますね。
 三十三間堂は正面の柱間が33ある事から通称されたのです。
長い本堂は約120mもあり 和様の入母屋 本瓦葺きの総檜造りとなっています。
 堂内には1001本の観音像が祀られているのが圧巻で これは日本唯一のものです。
あいにく写真撮影厳禁ですので 当サイトでは紹介できませんが
皆さんも 三十三間堂でこれを御覧になると きっと感動される筈です。

 千体の観音立像は 正しくは“十一面千手千眼観世音と云います。平安、鎌倉期のもので すべてそれぞれ微妙に表情が違うので、沢山の仏像の中から“会いたいと願う人の顔”を見つけることができるといわれていますが 奥の像も含め 全ての顔をはっきり見るのは普通の人にはまず無理です。
沢山の手があるのは、多くの願いを叶え、多くの人々を救う役割を持っているからです。

 中央には巨像(中尊)、観音像前列にある 28体の変化に富んでいる仏像は千手観音とその信者を守る神々で インド由来のものなのです。目は写実的に 水晶を嵌めこむ「球眼」という技法が用いられ迫真的な姿が印象的でした。国宝に指定されています。
三十三間堂は鎌倉彫刻の宝庫です 入口  ここより写真厳禁です 京都国立博物館も対面にあります
 東本願寺

阿弥陀堂 本尊 阿弥陀如来(木像・立像)が安置されています。
 京都駅、京都タワーの北側にある浄土真宗の仏教寺院です。正式名称は「真宗本廟」と呼びます。
 本願寺は織田信長との戦いで事実上降伏で終えましたが、
慶長7年(1602年)に、豊臣秀吉の命により退隠させられていた教如(光寿)が、徳川家康より寺地を寄進され、本願寺の第十二代に就任しました。以後本願寺は東西に分立します。
(簡単に言えば 秀吉の怒りにふれ本願寺を追放され、野に下った本願寺旧門主を「宗教勢力分断」の政治的目的で家康が復活させて創設したのが真宗本廟(東本願寺)です)
  江戸時代には火災に4回も遭ったので“火出し本願寺”と揶揄されていたとか(苦笑)。
したがって現存する建造物は明治期の再建ですが 建築・障壁画は当時の最高の技術が結集したものなのです。

 境内のほぼ中心に位置するのが 世界最大級の木造建築物御影堂。宗祖親鸞の坐像(御真影)が安置されています。
大修復工事中で 残念ながら保護屋根に覆われていました。
 世界遺産 西本願寺
 京都駅から西に1.5km 堀川通りの西側にある 浄土真宗本願寺派本山の寺院です。こちらも豊臣秀吉より 1591年(天正19年)寺地の寄進を受け、現在の堀川六条に移転してきたのです。

 11代顕如の子教如が徳川家康によって本願寺の東に寺領を与えられ、1602年に本願寺が東西に分かれた際、教如が開いた寺を東本願寺と呼んだため、
それまでの本願寺は西本願寺と称されるようになりました。

境内には桃山文化を代表する建造物や庭園があり 史跡にも指定されています。平成6年には“古都京都の文化財”の一部として世界遺産にも登録されました。

親鸞聖人像が安置されている御影堂 本堂(阿弥陀堂) 
現在「平成大修復」の真っ最中でした。
 東本願寺と西本願寺、どちらが見応えがあるかといえば
歴史的には西本願寺が古いですし 国宝などの文化財も西本願寺の方が多いです。
また 西本願寺は時間帯によって一般の方が立ち入れない境内を無料で案内してくれます。

 ちなみに本願寺は 本願寺(西本願寺)派、大谷(東本願寺)派、高田(専修寺)派、興正(興正寺)派、佛光(佛光寺)派など 現在18前後に分かれています。
2011年4月9日より本願寺御影堂にて親鸞聖人750回大遠忌法要開始予定です。
 世界遺産 東寺
 次に 世界遺産に登録されている東寺に向かいました。
こちらの寺院は京都駅の南側にあり 真言宗総本山です。
東寺の入口 南大門  南大門から望む金堂 慶賀門(東門)
 古くは京都の町の南の終てで 大阪方面からは玄関口でもあった南大門
九条通りが東西を貫きますが 日本を代表する青ねぎ(葉ねぎ)
私が菜園でよく作る九条ネギはこの付近の由来なんですね。
 東寺の造営が始まったのは 桓武天皇が平安京に遷都した延暦13年(794)から僅か2年後の延暦15年(796)です。平安京は羅城門の東西にそれぞれ大寺を置きました。

 烏丸通りや京都駅を軸として 何でこの寺は西側にあるのに“東寺”と呼ぶのか..
それは平安京時代と違って 現在の市街地は東に移っているのがその理由です。東寺が元の場所にそのまま残っているわけです。
京都の町も新幹線から南に来るとがさがさした感じですが 東寺の周囲だけでももう少し雰囲気があれば...と感じますね。

 当初は 国外からの賓客をもてなす迎賓館的役割を担っていましたが 東寺が本格的に活動を高めたのが 日本に真言密教を広めていた空海(弘法大使)の造営以後となります。
以来千百年の間 台風、雷火、兵火の災害で 何度か焼失しつつも再建が繰り返され 昔の姿を今に伝えています。

 創建当時の建物は残っておりませんが、南大門・金堂・講堂・食堂(じきどう)が南から北へ一直線に整然と並ぶ配置、各建物の規模は平安時代のままです。平成6年(1994年)12月には「古都京都の文化財」の一部として世界遺産に登録されました。

 東寺のシンボルともいえるのが国宝・五重塔で 現存する国内の古塔では最高の高さ(総高55m)です、
東寺境内では最後に建立されたもの(正保1年(1644)江戸時代初期)で この頃になると細部の組みものに繊細さが見られます。五重塔内部は通常拝観は出来ません。
講堂
弘法大師によって着工され 承和2年(835)に完成しました。
室町時代の建築は重要文化財に指定されています。
堂内には立体曼荼羅として  大日如来を中心とする五智如来、五菩薩、五大明王、四天王、梵天、帝釈天の21体の仏像があり
東山区の三十三間堂と等しいくらい 私は長い時間この中で佇んでいましたが、桃山彫刻の粋が刻まれた像は 見る者を別世界に牽き込んでしまうオーラがあります。
金堂
 東寺の本堂となっており 桃山時代の建築は国宝に指定されています。
天竺様の構造法を用い 豪放雄大な建物意匠といった感。
内部は撮影厳禁ですので写真で紹介できませんが 
日光菩薩 薬師如来 月光菩薩そして十二神将は 漆箔や彩色が施され 先述の講堂内の“激しさと仏像自身が作り出す重厚な存在感”こそ こちらは希薄ですが 見る者が何かメッセージを汲み取ろうとする場所だと受け止めました。
“仏法により国の平和が守られ その光が世界の国々に届くように”そういった思想で東寺は建立されたのです。

 境内は 大宮通り、九条通り、壬生通りに挟まれてかなりの奥行きがありますし、毎月21日の大師の命日には「弘法さん」が催され 境内に沢山の露店が並び大勢の人で賑わいます。
“共々に力を合せて実現していく素晴らしい世界”を願いながら 
京都の美術史の宝庫とも云われる東寺で 平安文化と出逢ってみるのも良いですね。
 京都のランドマーク 京都タワー
 洛中めぐりの締めくくりとして 京都駅前に聳える京都タワーに上ってみました。
京都タワーは下のビルを含めると高さ131mあります。昭和39年の完成で
本来は 町並みの瓦葺きを波に見立て 灯台をイメージして作られたそうですが
古都だけにロウソクのイメージが濃厚になっていますよね。

 東京タワーやエッフェル塔、名古屋や札幌のテレビ塔と違い、
鉄骨を全く使用していないのが大きな特色です。
厚さ12mm〜22mmの特殊鋼板シリンダーを溶接接合し 円筒型の塔身を作っています。骨組でなく外被で力を受け止めて全体を支える“モノコック構造”が日本初採用されました。

展望室は地上100mの所に位置しています。登塔料金は770円(2008/12現在)。
京都の街の様子がぐるり360度楽しめ、霞んでなければ大阪まで見渡せます。
展望台の望遠鏡17台すべて無料なのも嬉しいですね。

夜は21:00まで営業しているので 夜景の鑑賞にも好適です。(京都で夕方以降(17時以降)でも観光できる所は 京都タワーくらいしか開いていません)

京阪電気鉄道のグループ会社である京都タワー株式会社が運営しています。
右写真は 京都タワーのマスコット「たわわちゃん」
京都の中心を貫く烏丸通 駅前を東西に貫く塩小路通 タワー展望券とパンフレット タワー職員のネエちゃん(笑)
 遠く北山や東山の稜線を描く山並みと 美しい京都市街。
観光都市だけに建築規制があるのか 高層ビルが無いのも美点です。
そうはいっても黒瓦の町家は 2008年の現在ですから随分姿を消してしまっています。
  タワーの展望券を買うと 地下3階の大浴場割引券、展望室1階手相占い割引券が付いてきます。
京都駅前で交通至便ですし 朝7:00から大浴場にも入れる京都タワー。
夜行高速バスで京都入りした際には 最適かもしれませんね。

←タワーから見た京都駅
 今回紹介したのは 京都駅から1.5km以内の洛中エリア中心で、
広島から「1日分の青春18きっぷ」を利用した5時間程度の滞在でも 
充分に京都らしさを感じる事が出来ますが、
各観光地で滞在時間を延ばせば より京都の奥深さを実感されるのではと思います。
皆さんも如何ですか?。

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