下関市豊浦町にある 川棚温泉に行ってきました。
江戸時代には長州藩の御前湯として、毛利氏の御殿湯が作られ
山頭火がいたく気に入ったこの温泉、
周辺にもさまざまな見どころがあります。併せて紹介します。 
 
  青龍が招いた川棚温泉

 川棚温泉は下関市豊浦町の川棚地区にあり
下関の中心部から北に25kmの場所にあります。
地勢的には山陰の末端の 鬼ヶ城山系の山裾に開けています。

 本州最西端の温泉郷ということで、町を散策すると 藩政時代から 城下町萩と 本州と九州を結ぶ交通の要衝下関 を行き交う旅人を癒す場であった事が偲ばれます。

 下関の奥座敷として また山口県を代表する温泉の一つですが のどかな雰囲気で 温泉街は歓楽的要素が殆どなく 遊戯店や飲屋街がありません。飲食はホテル内の店を利用して下さい という感じでしょうか。 
それでは 川棚温泉を紹介していきます。
共同浴場(ぴーすふる青竜泉)
 掛け流し式の温泉銭湯で ジェットバスやミストサウナなど最新の設備を調えた温泉施設です。
浴場を撮影しようかと思いましたが この日は芋洗い状態(笑)で断念。
 泉質は、無色透明のラジウム泉で、胃腸や皮膚に優しく幅広い効能がウリです。
 この温泉の歴史は古く 約800年前に発見されたようです。
古い伝説では 付近の大きな沼に青龍が棲んでいたようで
大地震の時に温泉が噴出し、青龍はその湯で煮殺してしまったとの事。それで川棚温泉には青龍が守護神として崇められているのです。
 小野小町もこの川棚に眠っているようですし 女性の観光客が多いのも 「美人の湯」にあやかって.....でしょうか。
青龍がいた沼とは ここでしょうか? 妙青寺 1416年大内持盛によって創建 仏のピアニスト コルトーも気に入った川棚

   “湧いてあふれる中にねている”   山頭火

 また、自由律句で知られる漂泊の俳人、種田山頭火がこの地を気に入り 3か月以上滞在したことでも有名です。
4月の第一土日曜日には 川棚温泉まつりが行われ
桜の開花時期と重なるので 大勢の観光客で賑わいます。

 銘菓は三春堂の川棚饅頭↓で 10個入500円 
  名物に美味いものあり 川棚温泉の瓦そば
  “名物に美味いものなし”と俗に云われていますが
例外が 山口県川棚温泉の「瓦そば」では ないでしょうか。
私も山口県西部に足を伸ばした際は 引き寄せられるように川棚に立ち寄ってしまいます。

 さて 川棚温泉で瓦そばを食べさせる店は 2店に大別され
たかせ系列と お多福になります。
瓦そば元祖を名乗る「たかせ」に行ってみました。
 こちらの系列は川棚温泉街に 本館 新館 別館の3店舗を展開しています。観光シーズンは やはり満席で 店の外で待つ事になります。今回は新館で食べました(左写真参照)。

 瓦そば発祥の由来は、“明治10年の西南戦争で熊本城を囲む薩摩の兵士が 戦野の合間に瓦を用いて 野草や肉を焼いて食べた”という古老の話をヒントに 
昭和36年 この店の創業者が 古い日本瓦に 茶そば 牛肉 錦糸卵 海苔 もみじおろし等を載せ 独自のつゆを添え 「瓦そば」として出したようです。

 材料は吟味されており 茶そばは京都宇治の抹茶を使い ネギは下関安岡産、海苔は宇部岬産 つゆもよくマッチしています。

 川棚温泉に来たら瓦そばを食べないと ここでの楽しみを半分は放棄していると感じるのは私だけ?(笑)
 店の外側に案内板があり 瓦そばの由来などが記されていますが こういうのがあるあたり 説明好きの山口の県民性がモロに表れていますね(笑)。
瓦そばも50年の歴史を持つだけに 山口県西部の普通のスーパーマーケットでは 瓦そばが普通に売られていたりします。

瓦そばの様子を 動画↓でもお楽しみ戴けます
http://www.youtube.com/watch?v=lWvjlhHfaSU
  川棚クスの森
 川棚温泉郷から上手約3kmに地点にある天然記念物 川棚のクスの森に行ってきました。

 このクスの森、実は1株だけのクスノキの巨木ですが
大きな18本もの枝を四方に延ばし まるで森のように見えるため
このような名前になりました。
日本三大樹の一つで 写真に写っている人の大きさと比べると その大きさがわかります。
 幹は1周すると9.5m 高さは21m 枝の最も長いものは27mに達するというマンモスぶりで 大正11年10月11日に史跡名勝天然記念物に指定されました。

 樹齢は1000年以上との事です。
 戦国時代、雲雀毛の名馬が大内義隆に献納されたのですが、
大内義隆は陶氏の乱に遭い、この名馬もこの地で命運を共にしたのです。この名馬の霊を慰めるため、このクスの大木を祀ることになったと言い伝えがあります。現在でもこのクスの森は、「霊馬神」とも呼ばれており、伝承物語があるほか
3月28日を祭日とし、信仰の対象として崇め敬うなどしています。

 綺麗に掃除が行き届いており、地域の方がとても大切にされている姿勢を 垣間見る事が出来ました。
 このクスの森を詠んだ
 山頭火の句碑もあります。
  厚母の大仏
 次に川棚温泉の近くにある“厚母の大仏”に向かいました。
この情報をメールでお寄せ下さったのは 宇部市にお住まいのM田さんで 毘沙の鼻(本州最西端)と併せて行ってきました。どうも有難うございました。

 場所は下関市豊浦町厚母郷で 判りにくい位置かもしれませんが 黒井村駅と梅ケ峠駅の中ほど 国道191号線沿に表示が出ています(下写真参照)。
こちらの大仏が鎮座している大仏殿は 2002年(平成14)に新築されました。
建物もこの地域の土塀やその風景と一体になるような設計思想で
外壁には地元の土を固めた1500個もの 版築ブロックを積上げる 我が国初の工法が採用されています。
 この大仏は 国指定重要文化財(昭和4〜25迄は国宝)に指定されており
楠材の寄木造りの大仏、上品下生の印を結ぶ阿弥陀如来です。
像の高さは269cm (これを丈六仏と云います)
平安時代末期に造像されました。その割に破損も少なく
当代有数の様式を具えた技巧など 見るべきものがあります。 

 特徴に 膝張りと膝高の比率関係が 他所と異なる点が挙げられます。
一般の仏像は 膝高を1とすると 膝張りが5の割合ですが
厚母の大仏は 膝高を1とすると 膝張りが5.4の比率になっているのです。
 大仏なので 下から仰ぐケースが多い事をふまえて
頭と膝の割合が崩れてしまい 頭が小さく見えるのを防ぐ工夫からです。
  本州最西端 毘沙ノ鼻
 次に 厚母の大仏からほど近い 本州最西端「毘沙ノ鼻」(びしゃのはな)に向かいました。
 位置は北緯34度6分、東経130度51分
 最西端スポットとして整備されたのは 実は最近で 展望広場が整備され、気軽に立ち寄れるようになりました。
10年前は最西端といっても“ガッカリ名所”で有名なほど(笑) 何も無かったのです。
 本州最西端の地「毘沙ノ鼻」の到達証明書も発行しており
下関市観光振興課へ 切手200円を同封して郵便で申し込むようです。

 本州でいちばん遅い夕暮れを見るもよし 日本海の荒波を観るもよし 余裕があれば 本当の碑がある最終処分場の中まで 出向いても良いかもしれません。

 惜しむらくはこちらの「毘沙ノ鼻」、公共交通機関で行くにはかなり不便を強いられる位置にあります。
バスは通っていないし JR山陰本線の最寄駅からも5kmもあるので 車を使われた方が良いでしょう。
逆にいえば それだけに美しい自然が残っています。

土産物店もありませんが 駐車場にトイレ、清涼飲料水の自販機があります。
  本州最西端からの風景です。
  角島と下関市街エリアの中間に位置するので 立ち寄られてもいいかもしれませんね。 


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山頭火の愛した鬼ヶ城連山に囲まれ、深緑の中ラジウム温泉をお肌と心で楽しめる宿。温泉付離れなどお部屋タイプもいろいろ。
東京〜下関を 3列独立シート・トイレ付で11,200円〜
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