別府ならではの観光といえば 代表的なものが『地獄めぐり』。
東日本の皆さんは 地獄めぐりとは何ぞや と思われる人も多いでしょうが
別府市に多数存在する 多種多様な奇観を見せる自然湧出の源泉「地獄」を 観光名所化したものです。

 これらの温泉は、源泉の含有物により 青、赤、白などの様々な泉色の温泉があったり、
間欠泉などの特色のある源泉があったり 温泉熱を利用して動植物を育てる温泉がありますが
いずれも 100度前後の噴気・熱泥・熱湯が地上に凄まじい勢いで噴出して、
危険で人々が近寄ることが出来ないさまを「地獄」と呼称していたようですが
広義には 入浴ではなく、観覧を主な目的とした温泉を 「地獄」と呼んでいるのです。

 まさに 豊かな温泉資源の象徴といえるもので 「国指定名勝」の4地獄などは見応えがあります。
自然の驚異を体感しながら 8地獄を散策しました どうぞごゆっくりご覧下さい。

  海地獄
 海地獄は 別府地獄のなかでも最大のもので
今から約1200年前鶴見岳の爆発により出来た広大な池が、美しいコバルトブルー(海の色)に見えるところから、このような名称で呼ばれるようになりました。
 別府地獄を代表する景色とあって 多くの観光客が記念撮影しています。

 硫酸鉄の溶解によって コバルトブルーの涼し気に見えるこの源泉 何と泉温は98度もありますから 触ると大火傷をします。
小さなお子様連れの方は 決して目を離さぬようにご注意下さい。

 泉脈までの深さは200mにも達しており
地獄に隣接した池は 暖かい温泉水が湧き アマゾン原産の大鬼蓮も栽培されているようです。
(私が行った時期はあいにく時期外れでしたが)
 観光地だけに商魂たくましいといいましょうか 各地獄の入口付近には土産屋が設けられ 観光客は土産屋を横切っては(笑) 地獄見学するという寸法になります
(温泉卵、地獄蒸し焼きプリン、地獄Tシャツ、地獄グッズの土産物が買える)
それでも 地球の生きざま、灼熱の息遣いを体感できる“地獄めぐり”は他に類がありません。
  鬼石坊主地獄
 鬼石坊主地獄は 海地獄の上側の隣に位置しています。
泉質はナトリウム-塩化物泉

 絶えず熱泥が噴き出して 海地獄とはまた異なった景観を見せるこの源泉  もちろんこちらも90度を優に超えますので触ると大火傷をします。
カメラ好きの人は 近接撮影される時によく注意して下さい
また 柵こそありますが 小さなお子様連れの方は 決して目を離さないように注意して下さいね。

 きめ細かい薄灰色の泥の粒子が 坊主のように膨らんでは ポッと割れています。  
かつての大地震で寺院が住職ごと吹き飛ばされた伝説もあるようですが 定かではありません。

 鬼石坊主地獄の歴史は古く 文献に表れたのが 大平5年(733)に書かれた豊後風土記の玖倍理湯の条に「口の経、丈餘、湯の色黒く、泥常に流れず」とあり 
元禄7年(1694)に訪れた貝原益軒は「豊国紀行」に「円内坊地獄とて熱湯あり泥土なり」と記し 
寛政7年(1795)には 脇欄室が「函海魚談」で「泥を躍し、湯を起こし」と述べました。
当時の地獄は 所々に点在していましたが 熱泥により稲が育たず人々の暮らしも出来ない 正に地獄の土地だったのです。
しかし その奇異な自然現象は 次第に人々の注目を集め 見物客が畦道を見て回るようになります。 それが地獄見物の観光化の始まりでした。

 日露戦争以降は その人気に拍車がかかり 明治43年(1910)には 日本で最初に入場料(2銭)を取る“地獄見物”がこの地の海地獄から始まり 次いで 血の池地獄 坊主地獄 八幡地獄 紺屋地獄が地獄遊覧を始めて 大発展しました。

 大正末期から 自動車の便が開け 昭和になって遊覧バスの運行も始まると 日本を代表する温泉観光地となっていきました。
その後 時勢により一時閉鎖されていましたが 復活を願う国内外の多くの人々の支援で 平成14年(2002)に再開園され 歴史ある地獄が蘇ったのです。 
 2002年秋に再開園しているだけに園内は 最近の観光地らしく綺麗に整備されています。

 鬼石とは、この地獄の最初の所有者の屋号から名が付いたもので 別府にはこの鬼石坊主地獄とは別に 別府地獄組合非加盟の坊主地獄もあるようですが そちらは周っていません。
  山地獄
 鉄輪の海地獄 鬼石坊主地獄に続いて山地獄を訪ねました。
(隣接していますから徒歩で周る事が出来ます 鉄輪は道が狭いので車移動は逆に時間のロス)

 こちらの山地獄は 他の地獄のように池に大量の湯を蕩々と湛えている訳ではなく、岩山の山裾付近の各所から 水蒸気が吹き上げているだけといった地獄。
 泉質はナトリウム塩化物泉、泉温は約90度
山の至るところからモウモウと噴気が上がっている情景は
やはり特異です。

 視覚的な迫力でいえば 噴気や熱水の状況から見る限り どうしても他の地獄よりやや地味に感じる事は否めません。
それをカバーする意味もあるのか、山地獄にはミニ動物園が併設され 水蒸気の熱を利してサバンナ気候を模した環境の中、 カバ、フラミンゴ、アフリカゾウ他17種類の動物が飼育されています。
  かまど地獄


このかまどの噴気口に向かって 煙を出して燃えている物(煙草やマッチ等)の 火の頭のところを蒸気に向けて強く吹き付けると
温泉の蒸気と マッチの火の粒子が物理変化をして 蒸気の量が瞬間的に 数倍、数十倍になります。試してみて下さい。

 地獄蒸しというものがあり かんころ餅 石焼まんじゅう 温泉卵、 温泉ピータンなど 小腹を充たせたいものが現われます。
 かまど地獄は 古来より氏神の竈門八幡宮の大祭に、地獄の噴気で御供飯を炊いていたことが 名の由来となっています。

他の地獄と異なるのは 複数の地獄泉の集合体である点で、1丁目〜6丁目まで さまざまな湯の池があります。
そういった意味では “別府地獄ダイジェスト版” “別府地獄のデパート”といっても良いかもしれません。
3丁目池 乳白色の池 
(それでも地獄ですから85℃もあります)
5丁目池 池の色が変わる地獄
色も濃くなったり薄くなったりします。
地獄めぐりの中で足湯があるのがここ
砂蒸し足湯や小石が入った足湯も
のど・肌に良い湯もあります。(写真上)
4丁目池(80℃)土に粘性があるせいか 突起も大きい

6丁目池は 熱泥坊主
水分が少なく、ポコポコと噴き出しています。
赤い色は 地下の岩盤が 地熱で出来た粘っこい多種の粘度が溶けだした色ですが 自然の驚異を一挙に実感出来ました。
  鬼山地獄
 続いて、大正12年に日本で初めて温泉熱を利用しワニの飼育を開始した鬼山地獄に向かいました。
 こちらのシンボルとなっている建物はマレーシアのサラワク州から移築されたものです。

 1925年から1996年まで 鬼山地獄で生きた世界最長寿記録を持つワニ「イチロウ」の剥製も(写真右下)
 鬼山地獄では イリエワニ、シャムワニ、メガネカイマンなどの約100頭の世界のワニが飼育されています。
それだけに 別名は“ワニ地獄”と呼ばれています。
  (写真左  沢山のワニが群れる風景は国内無二)

 それぞれの地獄のウリとなるキャラクターが被らないよう 観光開発をしたと思いますが 別府のような地方都市で 大正12年 ワニを飼って熱帯を再現しようという発想.... 飼育ノウハウも無い状況で大変だった事も推察されますが 先見の明があったものだと感じます。 

 水曜、土曜、日曜にはワニの餌付けも行われるようです。
私が訪問した時はあいにく時間外でした。
時間も決まっているようなので 見たい方は時間を調べて訪問されると良いかもしれません。
 園内中央には 緑白色の熱水をたたえた池があり 噴気を勢い良く上げています。
泉質はナトリウム-塩化物泉  泉温は約98度です。

 地獄の噴気(温泉熱)を利用し、卵、肉まん、あんまん、とうもろこし、芋なども販売されていました。
ワニに出逢えるこの地獄、小学生のお子さんがいる家族連れにはお薦めしたい所です。
  白池地獄
鬼山地獄に続いて 隣接する白池地獄を訪ねます。
 前述の鬼山地獄がワニをウリとしていたのに対し 白池地獄では温泉熱を利用した熱帯魚館を併設しており 
アマゾンに生息する人食魚ピラニアなど 10種類程度の熱帯の珍しい魚を観察する事が出来ます。

熱帯魚館は今見ると 年代を感じてしまうのは否めませんが
昭和30年代は これが観光施設のデフォルトだったのでしょう。
 園内は 落ち着いた和風庭園となっており 中央の大きな池が白池地獄です。

 青みを帯びた白色の池ですが 噴出時は透明な湯が、池に落ちた時に、ホウ酸食塩水や重炭酸カルシウムなどの成分が 温度と圧力の低下によって青白く変化するのです

 外気に触れ温度が下がると白濁する地獄 様々な自然のメカニズムは特異なものであり 2009年(平成21年)には、別府の地獄として国の名勝にも指定されました。

 白池地獄は 県指定重要文化財の向原石幢、国東塔や、郷土美術が展示されている「二豊南画堂」もあります。
鉄輪地区にある6つの地獄の中で 順路として一番最後に周るケースが多いと思いますが ここを出た所に“秘宝館”なる 下ネタ全開的な施設もありました(笑)。
 鉄輪温泉の6地獄を後にして 県道218号線を北側に約3q進みます。
あちこちから湯煙が立ち昇っている 泉都・別府らしい風景が車窓に広がります。
次なる目的地は 柴石温泉の 血の池地獄と龍巻地獄です。
 血の池地獄
 血の池地獄は赤い熱泥の池で 湧出量は約1800kl./1日、池のm面積は約1300u(420坪)あります。 泉温は摂氏約78度 
他の地獄同様 土産店を通り抜けて地獄見学となります(笑)。

 こちらの地獄の歴史も古く 1300年以上前の奈良時代に書かれた「豊後国風土記」に赤湯泉、
「万葉集」にも赤池としてここの存在が出て来ています。
赤い熱泥は、地下の高温・高圧下で自然に化学反応を起こし生じた酸化鉄、
酸化マグネシウム等を含んだ泥で それが堆積して池が赤く染まっているのです。
 血の池地獄は昭和初期まで度々爆発を起こしており、実は近づくのも怖い地獄ではありました。
そこで爆発を防ぐ為、池を撹拌する作業を始めました。
以来爆発は起こっていません。上写真は爆発が起こった時の様子を話してくれています。

希少性が認められ、平成21年に国の名勝に指定されました。

 泉質は酸性緑礬泉、この赤い熱泥の沈澱物を利用して 明治の昔から皮膚病薬(血ノ池軟膏)を作ったり、
布や家の柱などの染色も行なわれていました。
血ノ池軟膏は 水虫に関しては戦前は定番の民間治療剤とされていました。
現在でも販売されて ケガやあかぎれ、ニキビ アトピー、吹き出物などに効くので 人気商品の一つです。
 龍巻地獄
 同エリア内に隣接している龍巻地獄も訪問します。

 この龍巻地獄は “間欠泉”として名高い地獄です。間欠泉とは 一定の時間を隔てて周期的に熱湯を噴出する温泉の事で 噴出が大体35分〜40分間隔という極めて短い間隔で 約5分間熱水が噴き出す間欠泉です。
 別府市の天然記念物に指定されており、2009年(平成21年)には国の名勝にも指定されました。
 豪快に噴き出した熱水は、安全の為に屋根で止められていますが 実際には最大で50mほど噴き出す力があるのです。
 約150度の地中の熱水が 圧力の高まりと共にほぼ規則正しく吹き上げる様子に 自然の神秘を実感する事が出来ました。

 噴出間隔が短いのが別府龍巻地獄の特徴で 時間の乏しい観光客にとっては 嬉しい点だと思います。
(折角の訪問だったので 私も25分程待たせて貰いました) 
 ◆別府地獄めぐりを 手軽に楽しむには………
 さて、そんな地獄めぐりを手軽に短時間で楽しむ方法ですが
最も効率が良いのが 亀の井バスの定期観光バスです。

 マイカーで行くのも良いのですが 観光バスなら沿線の観光地を「ここは名高い流川…」の七五調で案内してくれますし、各地獄で入場券などを購入する煩雑さもありません。

 何と 日本最長の歴史を持つ定期観光バス、別府駅前から一日5便が出ていますし 昔からのまじめな(正統派)定期観光バスといった感じが好ましく 個人的に好きな観光バスです。
 地獄めぐりの後は 竹瓦温泉に...............
 地獄めぐりの後は せっかく泉都・別府に来たのですから 駅から歩いて寄れる温泉に入りましょう。

 市内には色々な温泉がありますが 別府らしさが感じられる味わい深い温泉といえば 竹瓦温泉がその最右翼だと思います。

竹瓦温泉は別府市元町にある 別府市営の共同温泉です。
場所は別府市中心部の国道10号線から入ってすぐの場所 
別府駅からでも歩いて15分ですし 別府中心部の温泉街の中核に位置するので 地の利にも優れます。

 このエリアは1871年(明治4年)5月、流川河口に旧別府港(楠港)の築港以降に開け始めた所です。
温泉の創設は 明治12年(1879)で、当初建築されたものが竹屋根葺きの浴場 そしてその後に改築されたものは瓦葺きだったので 竹瓦温泉と名がついたようです。
現在の建物は昭和13年(1938)の建設で 正面は唐破風造
(からはふづくり)の豪華な屋根をもつ温泉建築となっており、
外観は別府温泉の象徴的な存在となっています。

建物は2004年(平成16年)6月9日に登録有形文化財に登録、
2009年(平成21年)2月には近代化産業遺産にも指定されました。

老舗高級旅館と感じる外観は、別府温泉の象徴的存在です。
温泉の真ん前には 竹瓦小路があります 
木造アーケードは日本一古いといわれ スナック、バー、居酒屋 喫茶店が並びます。

周囲は 温泉街らしく飲み屋や風俗店が集まります
 これだけの歴史的価値のある温泉でありながら 入浴料金は普通入浴 100円と格安!。
湯(少し熱め)は温度調整のために加水されていますが 掛け流しです
ここには砂湯(1,000円)もあり、浴衣を着て砂の上に横たわると温泉で暖められた砂をかけてくれます。
営業時間も 6:30〜22:30(最終受付は21:30)となっており 
毎月第3水曜日以外はほとんど開館していますので 行き易い温泉だと思います。
 最後に 大分のB級グルメ とり天を食べる
 別府生まれの郷土料理「とり天」とは、鶏肉の胸肉、モモ肉などに 天ぷら衣をつけてカラッと揚げたもので 揚げたての天ぷらに酢醤油を(好みに応じて洋辛子も)付けて食べます。
 唐揚げとの相違点は、唐揚げは鶏肉に片栗粉を薄く塗して油で揚げるのに対し、とり天は下味をつけた鶏肉に 水で溶いた衣をつけて揚げます。つゆにつけて食べる点も違います。

大分県ではポピュラーな食べ物で 別府で食べられる店は300軒位あります。私は「ビリケン」という店で食べてみました。
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